ギャラリースタンド
意外や意外!ボールの進化がクラブを進化させた
ゴルフの歴史を語る上で、避けて通れないのがボールの進化論だろう。多くの人はボールの原点は、フェザリー・ボールと理解しているようだが、意外や意外、それよりも前にボールは存在した。今から約700年前、14世紀に初めて登場したのが、ブナの木を工具で削って造られたきわめて原始的なもの。ゴルフの草創期を支えたのは木のボールだった。もちろん正確な円形ではなく荒削りのものだったらしい。
17世紀頃から使われ始めたのが、羽毛を中に詰め外を牛皮で包んだフェザリー・ボール。初期段階はオランダからの輸入品が主で、スコットランドでは靴職人が造っていた。1日2~3個造るのが関の山で、ボール職人が肺を患うことも多かったらしい。この頃のクラブは、ボールを傷つけるのが敬遠されたため、アイアンクラブは、サンドアイアンと車輪の跡から出すラットアイアンだけだった。
19世紀の中葉、ゴムの木の樹液を鋳型にはめて造る発想が生まれ、これがガタ・パーチャ・ボール。発明者は、ロバート・アダムス・パターソン。マレーシアに自生するサボジラの木の樹液が高温で液化し、常温で固形化する事を発見。もともと新大陸と英国を結ぶ海底ケーブルの被覆線として使われていたが、それをゴルフボールに応用した。まさにゴルフの歴史を変える大発見だった。この頃に、クリーク、マッシ―、ロフテッドアイアンが中心になり、ウッドクラブもバルガー・フェースのもの、パターもマレットタイプのものが現れる。ガタ・パーチャがもたらした用具革命とも言われている。
この革新のボール出現は、コースの設計にも大きな影響を与える。
セント・アンドリュースの改造もガタ・パーチャが影響した。
今も昔も、ゴルファーの永遠の命題は「より遠くへ、より正確に」だ。この頃のボールは表面がツルツルだったが、使っているうちに傷のあるボールの方が良く飛ぶということに気付く。
これが、ディンプルのスタートとなったのだ。自然にできた傷に原点があったとは・・・。
1889年コバーン・ハスケル(米国)がコアに糸ゴムを巻き付け、その上に天然樹脂(バラタ)カバーをかぶせたボールを発明。いわゆる糸巻ボールの原型だ。今や高分子化合物で造るソリッドボールが主流。
飛距離やコントロールをあげるために日夜進化するゴルフボール。
ゴルフの歴史を形作ったのは多くの時間と偶然の産物。
700年の時を経て、オリンピックで再び注目されたゴルフ競技。
感慨深いものを感じずにはいられない。