ゴルフヒストリー

NICE ON 7月号【Vol. 441】


ルールの変遷あれこれ(1)

・スタイミーと6インチプレース

ゴルフ規則は、その歴史的な原則に忠実であることが重要であり、一方で、現在のゲームにとって包括的に明確で適切なものでなければならず、罰は妥当なものでなければならない。これは、ルールの総本山である「R&A」と「USGA」の考え方である。そのため、定期的に見直す必要があるため4年に1回、オリンピックの開催年に見直されている。
「歴史的原則」とは、13条からなる最古のゴルフ規則に定められている「あるがままの原則」を指し示しているという。現存する最古のゴルフルールは、スコットランドのリースに1772年に創設された「ザ・ジェントルマン・ゴルファーズ・オブ・リース」(現在のオノラブル・カンパニー・オブ・エジンバラ・ゴルファーズ)が全13条からなるゴルフルールを成文化したものだと言われている。この13条には、ゴルフ精神の核が収められゴルフの原点が垣間見られるものだ。

1802年の「セント・アンドルーズ・ソサエティ・オブ・ゴルファーズ」でのルールは、17条となり、それから1世紀を経た1902年には37条まで膨らみ、それから半世紀を経て1952年、現行の41条となった。その間に、ストローク競技のためのルールも16条が定められている。
ここでは、1952年にあまりにも不合理であることを理由にグリーン上でのルールで廃止された「スタイミー」に焦点を当てて見たい。
スタイミーは、現在でもトーナメントなどの中継で解説者が良く使うが、言葉としてはそのまま残っており、狭い場所でのショットの時、飛球方向に木があると「スタイミーになりますね」などと言う。
実はこのスタイミー、かつてはマッチプレーに限り、グリーン上で相手のボールがパットの邪魔になっても、原則的にはそのまま打つというルールとして存在した。1789年に定められ、1952年まで廃止、復活を繰りかえしている。相手のボールが、自分のボールより、6インチ離れていれば、ライン上にあってもそのまま打たなければならなかった。当てれば2打罰。ビリヤードのように飛び越えるストロークが求められたが、このルールにより、試合でさまざまな駆け引き、エピソードが生まれたのも歴史の1ページを飾っている。

※(スタイミーの本来の意味は、自分のボールとカップとの間に、他の競技者のボールが存在している状態をいい、グリーン上で起こり得るものでした。また最古のルールではカップから最も遠くにあるボールからプレーすることが明記されており、ライン上にある他の競技者のボールをピックアップすることは認められていませんでした。)

スタイミーから派生した6インチプレースですが、この6インチを計測するために、スコアカードの1辺を6インチにしたり、またスコアカードに6インチ分の線がかかれたものもあったという。
ゴルフ場特有のルールにローカルルールというものがあるが、日本特有の冬場のプレーなどに設けられた「6インチプレース」は、この名残といえるとゴルフ史書の著者は語っている。

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