ギャラリースタンド
パラリンピックでのゴルフ競技実施の布石となるか?
2019年から「障害者ゴルファーランキング」がスタート。
ゴルフが全ての年齢やあらゆる身体能力をもった人々に受け入れられるべきというのは、ゴルフに関わる人たちの永遠の命題だ。
そういったことを証明できる重要なステップとなる動きが出てきた。R&AとUSGAが今年1月1日から、「障害者ゴルファーランキング」を発表することになった。今回のランキングは、ヨーロッパの障害者ゴルフ協会(EDGA)が作ったランキングを元に多くのゴルファーや試合の情報を集めて発表されるもので、ワールドアマチュアランキング(WAGR)のウエブサイトに併設する形となり、男女のランキングが発表されるというもの。
ただ、一概に障害者ゴルフといっても、障害の種類、度合いも様々。このことに対する細やかな仕分けも必要になってくる。EDGAのウエブサイトを見ると、ランキングはグロス、ネット、ステーブルフォワードの3種類に分けて発表しているが、障害者の状況(種類や度合い)を考慮すれば、ハンディキャップを利用したネットのランキングも必要だろう。ランキングがどのように形づくられるのか、障害者のクラス別になるのか詳細は明らかにされていない(2019年1月1日現在)。
また、EDGAランキングが元になるのであれば、日本の障害者ゴルフ協会や世界障害者ゴルフ選手権の結果も対照とすべきなのだが・・・・。とはいえ、世界ランキングは、障害者ゴルファーにとって励みとなることは間違いないし、障害者ゴルフの現状を変革・打破するきっかけとなる。これにより、障害者ゴルファーのためのゴルフルールの整備やゴルフ場が障害者にもより利用しやすいようにする改造も進んでいくだろう。ゴルフがオリンピックの正式種目になった。では、パラリンピックではという期待感も出てくる。
日本障害者ゴルフ協会は、2016年のリオデジャネイロパラリンピックからゴルフ競技参加を目指して活動している。
正式種目となるためには、恒常的な世界選手権の開催、世界ランキングの確立が絶対条件だが、今般、そのひとつがクリアされるのは大いなる前進だ。
日本には障害者ゴルファーの団体が多数存在する。また、そのいずれにも属さず、ゴルフを楽しんでいる障害者の人も多い。日本障害者ゴルフ選手権の草分けとなる日本障害者オープン選手権は、第1回大会が1996年ウイングフィールドGC(栃木県)で開催されたが、参加は33人だった。2015年に20回の記念大会が千刈CC(兵庫県)で行なわれ、その際は2日間36ホールスクラッチプレーで行なわれている。
世界ランキングが確立されたことにより、パラリンピックという目標ができるため、ランキング対象の試合に多くの選手が集まってくるだろう。
2020年の東京オリンピックのエキビジション、2024年のパリパラリンピックの追加競技に加わることも目指しているだけに、今回の障害者ゴルファーランキングの始動は大きな追い風となる。障害者ゴルフのさらなる盛り上がりに期待するとともに、ゴルフが全ての人に受け入れられる時代の到来が視野に入ってきたといえよう。