ギャラリースタンド
競技会の表彰式への不参加は選手のマナー欠如の表れ!
ゴルファーとして持っておきたい千年不変のエチケット
これは、筆者がゴルフ記者時代に経験したことだ。各種のアマチュア競技会や会員制ゴルフ場のクラブ競技の表彰式風景で、何ともやりきれない寂しさを感じずにはいられなかった。
表彰式場で、優勝者と2位の選手、あとは各賞の入賞者が数人という状況で、大会関係者やクラブ事務局のスタッフ等、明らかに関係者の方が圧倒的に多く、表彰式の体をなしていなかった事を多く経験した。関係者や支配人に事情を聞くと「参加者は50人以上あったのですが・・・」「表彰式にも各賞合わせて10数人の方が参加していただくものと思っていました・・・」と困惑した返答。当方も、インタビュー目当ての選手を決めていただけに「○○さんは帰られましたよ」という返事に不意打ちを食らった気がしたものだ。各賞対象の選手がそこにはおらず、所属コースの支配人や関係者が代理で賞品やメダルを受け取っている様は大会自体をないがしろにしているともいえる。
昨今は、道路事情を考えてか、遠方からの参加者は「高速道路が混まないうちに帰りたかった」「優勝じゃなく飛び賞だから、参加しなくても良いと思った」という雰囲気があったようだ。表彰式への参加意識の欠如、クラブ競技会の目的のはき違えとしか言いようのない何とも言えない怒りさえ覚えたものだ。年齢や職種も社会的に地位のある人、社会経験も豊富な人だけでなく、若い学生諸君にまでそのムードが及んでいることが、もの悲しさをさらに積み上げた。
クラブ競技会に話を戻そう。プレー後にゴルフ談義などで夜遅くまでクラブハウス内にいるという習慣は少なくなっているという。コーススタッフやホールスタッフの勤務時間などもあり遅くまで談笑するというのは考えものだが、クラブ競技会やクラブライフを楽しむという余裕はいつ頃から無くなってしまったのだろうか。アメリカをはじめ、海外のゴルフ場ではどうだろうか。19番ホールを楽しむという習慣があるらしく、バーラウンジやレストランで酒を酌み交わし心ゆくまでプレー後の余韻を楽しんでいる。表彰式も親しい仲間がギャラリーとなり、仲間を祝福し、雰囲気を盛り上げる。日本人的心と西洋思想の相違と言ってしまえばそれまでだが・・・。
もうひとつ、メジャー大会でのエピソード。有名選手があえなく予選落ち。本人だけでなくその選手を目当てに集まったギャラリーも落胆したが、その選手は他の選手が競技をしているのを尻目に、ギャラリーに手を振ってコースを一周、ギャラリーの声援に応えたという。サインの要求にもろくに応ぜず、あわただしくコースをあとにする、不愛想に帰り支度するそんな選手とは大違いだ。こんなところにも、ゴルファーとしてあるべき作法の相違をみるのだ。ゴルフはマナーとエチケットのスポーツ。融通無碍のゲームといわれる。プレー中は緊張感を持って集中しているが、プレー終了後はもっと心にゆとりを持ち、気軽に言葉を交わすなど、紳士・淑女たれと願わずにはいられない。