ギャラリースタンド

NICE ON 8月号【Vol. 430】


男子プロはプロアマ大会の原点回帰を本気で目指せ!
片山晋呉選手がトーナメント出場自粛を発表したプロアマ戦の残したもの。

ゴルフは紳士、淑女のスポーツと言われ、ルールやマナーにはことのほか厳しい面がある。現在は男子・女子プロツアーとも若手の活躍でゴルフの面白さを魅了し、若年層のゴルフ参加率も高まってきている。そんな折、プロツアーの原点とされるプロアマ大会で衝撃的な出来事が起きてしまった。ゴルフ界関係者やメディア陣からは、起こるべくしておきた事象とため息が聞こえてくる。

5月に行なわれた日本ゴルフツアー選手権森ビルカップのプロアマ大会で、片山選手とプレーした招待客が、片山選手の応対に対し不愉快な思いを抱き、プレー続行を断念したというもの。
これに対し、片山選手はプレー継続を断念した招待客及びプロアマ大会に招待した大会特別協賛社に対しても自身が直接訪問しお詫びしたという。
日本ゴルフツアー機構(JGTO)は、選手が守るべき準則として『プロアマトーナメントに出場する同伴アマチュアに不適切な対応をしたり、不快感を与えるような態度をしてはならない』と明記している。当たり前すぎる内容だが、この原点が守られてないところに、今の男子プロの盛り上がりに欠ける要因が見えてくる。

JGTOの青木功会長や石川遼選手会長は今年度の方針として、「プロアマ戦を大事にする」ということを掲げてきた矢先の出来事であり、この事態には危惧感を持ったのは当然である。ことの真相は、片山選手がポケットに手を入れたまま話をしたり、グリーン上で客のライン読みよりも自分の練習を優先、また、客が不快感を抱く発言をしたというもの。
プロアマ大会の中で、プロがグリーンやグリーン周りをチェックすることは良くある光景だが、JGTOのホームページには「同伴のアマチュアに対して、一言声をかけたり、承諾を求めたりすることをしないまま、パッティング練習やアプローチ練習を行なってはいけない」と明示されており、同伴のアマチュアに対するホスピタリティーに欠けていたと言わざるを得ない。結果、JGTOは片山選手に対し、30万円の制裁金と厳重注意を課した。また片山選手も大いに反省し、自らツアートーナメント出場自粛を発表した。

この片山事件は、いみじくも女子プロ人気との乖離を見せる格好となった。LPGAは2000年頃からファンサービスに力を入れ始めた。①、ファンサービスの義務付け ②、年に数回セミナーを開催し厳しく指導するなど、本気で改革に取り組んできた。応援してくれるファンがいること、トーナメントを支えてくれるスポンサーが存在してこそプロとして成立すると言う原点回帰を実践してきた。安穏とブームに便乗してきた男子プロに比べいち早く対策を講じ、問題点の解決に努力してきたと言える。この差が今のトーナメント数の差異として明確に表れているといっても過言ではないだろう。アメリカでもファンサービスやメディア対応は厳しく義務付けられている。プロゴルフ界にはファンサービスに疎い選手も多いと言われるが、プロ選手の中にはプロアマ大会ではプレーをせずに一緒に回ってアドバイスや写真撮影をしてラウンド後にゴルフ談義をし、接客に徹する選手もいることは伝えておきたい。
男子プロが昔のような人気を取り戻し、活性化を取り戻すためにもこの事象を真摯に受け止め、JGTOとしても今後のホスピタリティーなど改革のウェーブを早めに推し進めて欲しいものだ。今後さらに改善していくことを期待したい。

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