ギャラリースタンド

NICE ON 3月号【Vol. 425】


今ひとたび、あの雄たけびが観たい
タイガー・ウッズがマスターズで舞う!?
J・二クラウスの記録まで、あと4勝

タイガーウッズ(42)が米男子ゴルフのファーマーズ・インシュアランス・オープンで1年ぶりにツアーに復帰、2015年8月以来となる予選通過を果たし、トータル3アンダーで23位と健闘した。手負いの元世界ランク1位の必死なプレーぶりにギャラリーは惜しみない拍手と期待を寄せた。決勝ラウンドでは、本格的な復活を見せつけ、新たな「タイガー物語」の復刻版が始まったと受け取ったファンも多かったに違いない。
米メディアばかりでなく、世界のゴルフファンはこれまでタイガーの去就について静観姿勢をとるケースが多かった。4度の椎間板の手術に加え、つらいリハビリ生活、その延長線上で浮かんだ精神の崩壊。薬物を飲んで運転し逮捕され、タイガー自身だけでなく、世界のファンが落胆し、もはや復活は難しいのではとの論調に変わった。だが、見よ、久しぶりにグリーン上に現れた体は引き締まっていたし、表情からも再起を期す情熱が漲っていた。
タイガーがある雑誌にもらしたコメントの中に、「僕の子供たちは、僕のことを“ユーチューブ・ゴルファー”だと思っていた」というのがある。世界のゴルフファンの記憶に残っていても、子供から見ればプレーをしない記録の中のレジェンドだという思いを伝えたかったのかもしれない。もう一度、自分の子供たちの前で雄姿を見せたい、もう一度あの喝采の中に自分の身を起きたいという思いが奇跡の復活の原動力なのだろう。
ある日本の若手プロの座談会でタイガーに触れるコメントを見つけた。「いま、世界で活躍している若手って、みんなタイガー・ウッズを見ながら育った世代だよね。」スイングは無理だけど、醸し出す雰囲気やイメージに憧れた若手プロやトップアマも多い。タイガーはゴルファーの中で神格化していたのだ。

21年前、1997年に驚異的なスコアでマスターズを制して以来、「タイガー物語」の序章が始まった。スポーツにおける獲得賞金額で1位になり(今はテニスのフェデラーにその座を譲っているが)ゴルフを世界に拡散させた。賞金以外の収入を含めた額では今なお1位をキープしている。2008年の全米オープンの優勝を最後にパタリと勢いが失速した。
ジャック・ニクラウスのメジャー優勝記録「18」を塗り替えようと思ってプロ入りしたといわれるタイガー、その記録まであと4つ。傷ついたレジェンドは、今、新たな物語のページを開いた。
そのタイガーが、今年のマスターズに帰ってくる。メジャーにカムバックする。
今ひとたび、あの雄たけびと雄姿の舞を見たい。記憶に残る波乱万丈の手負いの虎。今度こそ、記録に残るページに新たなる足跡を記してもらいたいものだ。

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