ザ・会員権
秋口に向け、早めの手当てをしたいゴルファーが強い注文を入れ始めている
平均相場回復へ低額クラスや優良中堅クラスの押し上げが大きな原動力に
酷暑でも土・日・祝日はゴルファーで賑わっている。さすがに平日はエントリーも少なく、イベントを駆使し誘客に苦慮するゴルフ場が多い。ただ、プロゴルフツアーの人気は衰え知らずで、女子プロツアーではニューヒロイン誕生も話題をさらっている。ゴルフ人気の健在さが見て取れるところだ。
このほど、PGA(公益社団法人日本プロゴルフ協会)では、ゴルファーのライフスタイル調査を行ったが、新規ゴルファーの台頭に明るい材料が見られるとコメントしている。今後はJGRA(公益社団法人全日本ゴルフ練習場連盟)、NGK(一般社団法人日本ゴルフ場経営者協会)と、スクラムを組んで500万人の新規ゴルファーの創出を目指し、ゴルフ界改革に積極的に取り組んでいくという。そうした流れは、会員権市場にも好影響を及ぼすだろう。
会員権市場は相場の割安感を背景に購入希望者が徐々に戻り始めている。これまで大量処分等を検討していた法人も、準名門・名門クラスのコースを探し始めている。3月以降一服感が合ったが、6月以降から再び購入希望が活発化している。個人では、高齢者の退会希望が見られるものの、リタイア層やリタイア後を考えての人たちが優良中堅や低額コースに注文を入れてきている。ボーナス需要はさほどの賑わいは見られなかったもののこれらの層の強い入会希望者が、名門コースや高額コースへ目を向け始めたことで相場の下げ局面が食い止められる結果となっている。
関西エリアの単純平均相場は83万円。3ヶ月ぶりに上昇波動を見せた。弱い夏相場を蹴散らし、そのまま秋相場へ突入、という流れが多くの専門業者の捉え方だ。秋相場では、80万円半ばまで回復するという見方が支配的だ。
入会&購入希望の多い価格帯や層を分析してみると、これまで会員権とは縁がないと遠目から眺めていたサラリーマン層の入会相談が増えている。コース選別では名義書換料等を含めた100~200万円台が最も多く、選択のポイントも「エントリーが取りやすい」「自宅から近い」「クラブ競技会が多く開催されている」が重視されている。
これは、接待ゴルフから個人のゴルフへとシフトを変えているためで、特にアスリート系ゴルファーはコースレートの高い、強い選手が多く在籍するコースへの入会希望が多い。
高額コースはランクアップでの買い替え需要が徐々に増加
低額コースでは再びグループ買いが増え、夫婦で入会も多い
会員権市場は、会員権価格の水準が低下し買いやすい局面が長く続いている。そういった分析からか安定感のあるうちに購入しておこうとの心理が働いている。
リタイア組みで多いのが「夫婦での入会」や「ファミリーでの入会」。ゆったりとしたクラブライフを求める人が多く、中にはグレードの高いコースをホームコースにと求めるケースも増えている。これは、リタイア後はスローライフを楽しみ、避暑地暮らしを始めるに当たって近隣のコースメンバーになる価値が見直されてきているからだ。また近場では、「歴史が感じられる老舗コース」「会員を重視した運営を行っているコース」「充実したクラブライフが送れるコース」といった選択肢が多く、予算を上積みしても上位ランクを求めるケースもみられる。ただ、こういったコースでは入会条件が厳しかったり、コース内で名義書換を行うなど市場での流通が乏しい面がある。入会希望者が多く相場が一人歩きする場合もある。半面、そういった事情から売りに出す人も多い。これが圧力となって全体相場を頭打ちにする要因にもなる。入会条件の緩和策や市場での流通を円滑にするなど入会促進策を計る必要があるだろう。
低額コースは仲間同士で同じコースを買うというグループ入会が再び増えてきた。競技会にも多く参加したいが、気心の知れた仲間もはずせないというのが本音のようだ。また、夫婦やファミリーで楽しみたいというのはリタイア後のゴルフライフを見据えた人たちが多い。競技会を優先させるか、クラブライフを優先させるかでコースの選定も変わってくる。コースの特徴を知るのも選択のポイントだ。