わかさカントリー倶楽部 キャプテン理事・競技委員
細見 功さん
Isao Hosomi

NICE ON 4月号【Vol. 414】

今回のゲストは、わかさカントリー倶楽部 キャプテン理事・競技委員の細見功さんです。毎年改訂されるゴルフ規則に対応するために自らが作成した資料をつかって勉強会を行なっておられるとのことで、競技会において公正を期し、間違った裁定はしないという競技委員としての矜持が感じられました。
もちろん、プレーヤーとしても努力の人で、かつては買ったばかりの手袋が1日で破れてしまうほど練習を積まれたとのこと。また競技委員のほかに、長年にわたる各種ボランティア活動、留学生支援、地域でのゴルフクラブ運営などにも力を尽くしてこられました。

取材日:2017年3月7日/場所:細見邸


キャプテン理事・競技委員として

細見さんは、わかさカントリー倶楽部のキャプテン理事・競技委員をされておられますが、具体的なお仕事内容をお聞かせ下さい。

わかさカントリー倶楽部クラブハウス

細見 キャプテンとしてはゴルフ規則やコースに関すること、また各種競技会の総括を全般的にさせていただいています。また、競技委員の仕事としては、様々な競技会を実施するにあたって、その競技における競技要項とか、競技の条件とかその競技に伴うローカルルール等を事前に整理して、競技会スタート時には必ず委員が立ち会い、説明して選手を送り出しています。そして競技終了後のアテストや最終的な成績の発表も競技委員が担います。さらに毎年、ルールの変更などにも対応していかなければなりません。競技委員が間違った裁定をしては駄目なので各年の改正点を資料にまとめ、勉強会を開いています。

競技中にも様々な問題が出てくるのではないでしょうか?

細見 ありますね。そういった場合は競技委員が行って必ず裁定します。やさしいケースでも選手同士がアドバイスした場合は、規則8条により聞いた方も教えた方も2打罰がつきます。

競技会の時は忙しいですね(笑)。

細見 8時スタートの場合だと7時には入っています。また成績発表と表彰式が終わるまで必ずいるようにしています。途中でも何かあればすぐ駆けつけられるように待機しています。

今までの競技委員生活の中で、興味深い裁定がありましたか?

付箋がびっしりと貼られたルールブック

細見 3年前のことですが、マッチプレーの2回戦でそれも、ハンデ1と3同士の争いでずっと競り合っていたんですが、一方のプレーヤーがティーショットしたところ、左にボールが曲がってOBの可能性があったので、1球目の暫定球を打った。するとその球も同じ方向に行ってこれも危ない。それで2球目の暫定球を打ちました。本球と暫定球が左へ、次が右へ飛んで行ったんですが最初の2球は同じような場所にあってきわどいところでセーフだったんです。私はその時も呼ばれて行くと、2球ともインバウンズにあるけれども同じ番号でマークも同じボールでどちらが1球目のティーショットかわからない。

本棚に並べられたルールブックの山

これも規則27条の暫定球という項目にありますが、自分のボールが見分けがつかない場合2球とも紛失球で、本来であれば3球目をプレーすることになります。しかし、規則1条に「公正の理念」というのがあってどちらかのボールを選択できるという規則があるんです。そこで、どちらかのボールを選択して相手にこちらのボールを打ちますと宣言してから第4打目として打ちなさいと言いました。(裁定27の11)

セーフであってもどちらの球かわからない場合には、暫定球扱いとしてプレーすることになるのですね。

細見 2球打っても暫定球ですから、第2打地点から相手のプレーヤーはまだ第2打目なのに、一方はそこから第4打目になってしまう。

マーキング例

ボールにきちんと番号や印をつけていくのが、疑義を防ぐことになりますね。

細見 わかさカントリー倶楽部ではスタートの時にはボールの確認をして、同じボールの場合は誤球になる恐れがあるので、どちらかに違うボールに替えて下さいと言います。

自分の球にも責任を持たないといけないということですね。他にも印象に残ったエピソードがあれば、お聞かせ下さい。

細見 去年テレビで見ていた女子プロの試合で、グリーン上でプレーヤーがキャディさんにぽんとボールを放って、キャディさんが受け損なって池の中に入ってしまったことがありました。規則16-1b、裁15-2-1だったと思いますが、池に嵌まったボールは5分以内に回収しないと、紛失球になって2打罰がつきます。それをご存知だったキャディさんは池の中に入って必死にボールを探して、プレーヤーに渡してパッティングを済ませました。ただ、やはりボールを手渡しするのがエチケットだと思いますね。

細見さんはまさに「歩くルールブック」といった印象がありますが、長年の経験と実績、もちろん日々の勉強などご努力の成果でしょうね。

細見 わかさカントリー倶楽部と京都国際カントリー倶楽部で競技委員として様々なことを経験させていただいたおかげだと思っています。京都国際カントリー倶楽部では競技会が全く開催されていなかったところから月例、三大競技会等の立ち上げにも関わらせていただくなど充実した日々を送らせていただきました。

ゴルフライフのこと

ここからは細見さんご自身のゴルフライフについてお伺いしたいと思います。ゴルフを始められたのはいつ頃でしょうか?

細見 33歳の頃です。私は4人兄弟なんですが私以外の3人がゴルフをやっていて、私が始めるとちょうど4人になるということで(笑)、兄から道具やウェアを譲り受けて半強制的に始めさせられたようなものです。わかさカントリー倶楽部に入会したのも兄弟が先に入っていたためです。

どなたかに教わられたのですか?

細見 最初は自己流で練習していましたが、腕が急にあがったきっかけがあります。山科の洛東ゴルフで練習していた時に若い女性5人くらいと男性1人が来られたんです。この方たちが凄いボールを打たれる。それでよく見てみると何と台湾の陳健振プロで、女性の中のお一人がまだ練習生の頃の涂 阿玉プロだったんです。その陳プロが素人の私の横に来て「もっと身体を回して、へそを正面に向けて・・・」と教えて下さったんです。さらにその後、2回ほど教えていただきました。陳プロの凄いところは自分で模範ショットをして見せて下さるところで、それを真似ているとすぐにドライバーが200Y程度飛ぶようになりました。本当に親切な方でした。

そのような偶然はなかなか起きるものではないですね。何かゴルフとの深いご縁を感じずにはいられません(笑)。
現在はどのくらいのペースでラウンドされておられますか?

細見 年間30回程度でしょうか。現役時代は京都市役所に勤めていて多忙だったために、年間10回くらいの年もありましたが・・・。ただ、練習だけは欠かしませんでした。手袋を1日で破ってしまうほど熱心でした。今でも手袋を買ったデパートの方と昔話をして笑うんですが(笑)。

凄いですね。その当時は何球くらい打っておられたのですか?

細見 休日には朝10時頃から夕方4時頃まで700球くらい打っていました。両側の肋骨にひびが入るくらいまで頑張りました(笑)。それでもゴルフが楽しいからやめられなかった(笑)。

平成元年 瀬田ゴルフコースにて

今までで印象に残っておられるゴルフ場があればお聞かせ下さい。

細見 奈良国際ゴルフ倶楽部ですね。コースももちろんですがエチケットがすばらしくて、クラブハウスでもコースでも全然知らない方からでも「おはようございます」と挨拶をしていただきました。また、キャディさんも残りの距離をきっちり言ってくれて、おかげ様でスコアもよくて当時はフルバックで80ちょっとで廻れました。

フルバックですか!素晴らしいですね。今までのベストスコアをお聞かせ下さい。

細見 わかさカントリー倶楽部のフルバックからでワンオーバーの73です。昭和61年ですね。私は記録を取るのが好きで、昭和49年から平成28年までの年間ラウンド数とベストとワーストスコアを記録していました。今でもスコアカードは全部残していますよ。

悪いスコアまで記録しておられるのはすごいことです。今はあまりスコアにこだわらず楽しんでおられるご様子ですね。どなたとラウンドされることが多いですか?

細見 わかさカントリー倶楽部の競技委員の方を中心にメンバーの方やプライベートコンペで友人とのラウンドもしています。

競技会にも出られるのでしょうか?

倶楽部選手権(左)及びキャプテン杯優勝トロフィー

細見 今でも月例にはよく参加しています。わかさカントリー倶楽部では初代のクラブチャンピオン、キャプテン杯優勝、理事長杯は準優勝だったんですが、グランドマンスリーも獲得致しました。月例杯では何回も優勝させていただきました。

理事長杯も優勝されるとグランドスラム達成でしたね。
お得意のクラブはございますか?

細見 ドライバーと8・6・4など偶数のアイアンが好きですね。

ゴルフ場へのご提言があればお聞かせ下さい。

細見 今のゴルフ場はそこの売りにする部分や、長所を作ってPRする必要があると思います。わかさカントリー倶楽部もグリーンの良さでは好評を得ていますが、ゴルフ場の激戦区千葉県で高い集客力を維持しているカレドニアン・ゴルフクラブはアピールポイントがオーガスタ並みの速さのグリーン。一度行かれたお客様がもう一度征服したいと思えるゴルフ場とのことです。さらに、次代を担う30~40代の若い方たちも競技会へ参加しやすくしないといけないと思います。わかさカントリー倶楽部でも参加者の幅を広げるよう三大競技のハンデ制限を少し緩和することを提案をして、取り入れていただきました。

若い方たちへのアピールは本当に重要です。細見さんにとってゴルフの魅力はどのようなことでしょうか?

細見 何と言っても私自身の活力の素になってくれていることと様々な素晴らしい方と交流を持つことができること。さらに、ゴルフは自己申告のスポーツで全て自己責任であることなどですね。

以前は京都市役所にお勤めだったとのことですが、ご退職後どのような活動をされておられるのでしょうか?

細見 定年退職する2年ほど前から国際交流の部署におりまして、65歳までその仕事を続けました。京都ファンを増やそうということで、各大学とも連携させていただいていました。個人的にも京都の大学で学んでいる留学生の支援を20年近くしています。また、重度障がい者施設の評議員は約25年、昨年退任しましたが民生児童委員もさせていただいていました。さらに私が住んでいる町内会の活性化と地域に貢献しようということで「元屋敷西部町内会ゴルフクラブ」を約40年前に立ち上げました。以前は障がい者施設のバザーのお手伝いなどボランティア活動もしていて京都新聞社に取材していただいたこともあります。

元屋敷西部町内会ゴルフクラブ 創立30周年記念ゴルフ大会

京都新聞に掲載されたクラブの活動内容

留学生交流の会で京都新聞社を訪問

様々な方面でご活躍されておられますが、健康維持のために日頃心がけておられることはありますか?

細見 何でも食べて必ず夜11時には寝るようにしています。さらに、適度な運動。私は今でも練習場では350~400球は打ちますよ。もちろん、打つ前には体操をして終わればクールダウンして関節や特に膝、腰を大事にしています。

恐れ入りました(笑)。最後になりましたが、今後の目標をお聞かせ下さい。

細見 私も今年76歳になりますので、自分自身のスコアアップを目指すというのではなくて、30代40代の若い方たちにゴルフを好きになっていただくお手伝いができればと思います。もちろん上手にもなってもらいたいのですが、私はエチケットが第1だと考えておりますので、できれば基本から学んでいただければいいなと思っています。

ますますのご活躍をお祈りしています。本日はありがとうございました。

わかさカントリー倶楽部 キャプテン理事・競技委員
http://www.wakasacc.co.jp
細見 功さん

Profile
京都市山科区在住
1941年(昭和16年)9月18日生まれ 満75歳
●ゴルフ歴  約42年
●所属コース わかさカントリー倶楽部
●ハンディ  8(わかさカントリー倶楽部)

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