ウィッツ株式会社 代表取締役
橋本 康恒さん
Yasutsune Hashimoto
今回のゲストは、ゴルフアパレル業界のニューウェイブブランド「DANCE WITH DRAGON(ダンス ウィズ ドラゴン)」を展開するウィッツ株式会社代表取締役 橋本康恒さんです。それまでのゴルフウェアにはない、ファッショナブルでインパクトのあるデザインはある意味衝撃的で、2003年の発売以来、多くのゴルファーの心をわしづかみにし続けています。サラリーマン時代に上司に勧められるままに始めたゴルフのおかげで巡り会えた今の仕事は、天職だとおっしゃる言葉がとても印象的でした。
取材日:2016年8月4日/場所:ウィッツ株式会社 本社
「DANCE WITH DRAGON」が人気ブランドになるまで
ウィッツ株式会社を立ち上げられたのはいつ頃でしょうか?
橋本 1999年です。父親が染色工場を経営しておりまして、そこから独立して今の会社を起こしました。もともとは生地を買って加工して納品するというテキスタイルの仕事で、コム・デ・ギャルソンさんとかヨウジヤマモトさんなどの著名なデザイナーズブランドの生地を手懸けていました。そういった仕事をする中で、自分でもシャツやパンツなど何か独自の商品を作りたいという気持ちが芽生えてきて「ダンス ウィズ ドラゴン」を立ち上げたんです。
とてもインパクトのあるロゴマークですが、ドラゴン(龍)をモチーフにされた理由をお聞かせ下さい。
橋本 当時はゴルフウェアのロゴマークと言えば、熊とかペンギンとかあまり強いイメージのものがありませんでした。また、どちらかというと西洋的なものが多くて東洋的なものが少ないのではないかと思い、それじゃあ東洋のシンボルというと何かなと考えているうちに龍がカッコいいんじゃないかという結論になったんです。
ネーミングの由来をお聞かせ下さい。
橋本 あたかも龍と一緒に踊っているような感覚になるような遊び心があふれるウェアというコンセプトです。
ロゴデザインや商品のアイディア出しなどは、社長自ら関わられたのでしょうか?
橋本 ロゴデザインは会社設立当初から働いていてくれた社員と二人で考えました。商品のアイディア出しは、ほぼ私一人でやっていましたね。デザイン画を描いたりして(笑)。今では優秀な社員もたくさん入ってきてくれて、外部の専門家も交えて品質管理から生産管理まできっちりとやっていますが、その当時のことを考えるとちょっと恐ろしくなりますね(笑)。
DANCE WITH DRAGON ブランドのウェア
ウェアのデザインがとにかく斬新で、尖った感じがしますね。
橋本 ブランドの立ち上げ当初は、反社会的だとか反ゴルフ場的だとか結構言われました。カーゴパンツや迷彩柄とか真っ赤なパンツなどがありましたから(笑)。今はそういったデザインのものも多くなってきましたけれどね。
当時は過激だったんじゃないでしょうか?
橋本 ええ。でもそれが逆によかったこともあります。やることなすこと否定されていって逆にそれが支持を得たというか・・・。
ウェア以外にもゴルフバッグやクラブ、グリップ、その他アクセサリーなども手がけておられますね。拝見するととても華やかなデザインで・・・。
橋本 バッグなどは、ゴルフ場で自分のものがひと目でわかるようにと目立つデザインにしましたが、今や逆に地味な方が目立ちやすくなってしまいました(笑)。グリップなんかは累計20万個近く売れているんじゃないでしょうか。おもしろいことに一番最初に出したデザインのものがずっと売れ続けていて、ゴルファーには結構保守的なところがあって、一度気に入るとずっと使い続けて下さるんだと、すごくいい勉強になりました。
プロゴルファーの方たちとのウェア契約もされているのでしょうか?
橋本 現在シニアで活躍中の上出裕也プロとは当初から契約させていただいています。過去には平塚哲二プロ、片山晋呉プロとも契約させていただいていました。女子は現在、笠りつ子プロと山里愛プロです。笠プロとの契約にはおもしろいエピソードがあって、彼女の所属事務所の社長に「どなたかうちのウェアを着て下さる方はいませんか?」と尋ねると「ドラゴンは龍(りゅう)やから笠(りゅう)りつ子しかおらんな」というノリで契約していただきました(笑)。その後笠プロは初めてのシード権を取られ、獲得賞金もぐんと跳ね上がりました。服装や持ち物も最初お目にかかった時に比べて、どんどん洗練されて行き本当によかったなと思いました。
笠プロは、8月12日〜14日に開催された「NEC軽井沢72ゴルフトーナメント」でみごと優勝されましたね。試合中はもちろん、表彰式から優勝インタビューまで、常時テレビに映り続けるわけですから、本当によいPRになりますね。今回もダンスウィズドラゴンのウェアがとても目立っていました。
橋本
ええ。笠プロは今やトッププロの仲間入りを果たされて、その活躍には目を見張るものがあります。もちろん、彼女を始めとして今まで私どものウェアを着て下さったプロの方たちに対しては、本当に感謝の思いしかありませんね。
ウィッツ株式会社が展開するその他ブランド
【ロック・デュ―ド】
ブランド名は、”You rock dude!君は最高!”から引用。ディティールの変化や素材感、加工などでアクセントをつけることによって音を感じる独自の 世界観を提案。
【トヴホ】
京都府章である六葉と勝ち虫と呼ばれている「飛ぶ穂=とんぼ」を絡めたブランドマーク。
伝統的な京都らしさを意識した色・柄がおしゃれ。
ゴルフライフのこと
ここからは社長のゴルフライフについてお伺いします。ゴルフを始められたきっかけからお聞かせ下さい。
橋本 私がまだ大阪でサラリーマンをしていた頃、上司に無理やり始めさせられたのがきっかけです(笑)。一番最初にラウンドした時はティーグランドで10回も空振りしました(笑)。何で止まっているボールにあたらないのか逆に不思議でした(笑)。
おいくつ位の頃でしたか?
橋本 27〜28歳の頃でしょうか。
現在はどのくらいのペースでラウンドされますか?
橋本
冬や暑い時はラウンドせずに(笑)、季節のよい時期に集中的に行きます。それでも年間20〜25回位でしょうか。ただ、練習は好きで最低でも1週間に1回は岩倉ゴルフクラブへ行くようにしています。
来られている方とおしゃべりするのが楽しくて(笑)。
お仕事柄プロの方ともラウンドされることも多いのでしょうか?
橋本 まだ芽が出る前の若いプロとよくまわっています。弊社の副社長ともよく行きます。あとは社員と私の知人を含めた「男前コンペ」(笑)というのを年2回ほど開催しています。
今までのベストスコアをお聞かせ下さい。
橋本 蒲生ゴルフ倶楽部でワンハーフした時に41・40・39を出しましたが、一番悪いスコアをカットして79でいいんでしょうか(笑)。
いいことにしておきましょう(笑)。印象に残っているゴルフ場はおありですか?
橋本 フェニックスカントリークラブと廣野ゴルフ倶楽部がよかったですね。
ゴルフをやられてよかったと思われるのはどのようなことでしょうか?
橋本 今の仕事に繋がったことですね。今ではゴルフを始めるきっかけを作って下さった上司に感謝ですね。その方は結構お洒落で「ゴルフは格好からや!」とおっしゃっていて、それが印象に残っています。
その言葉が、今のウェアづくりにつながっているのかもしれませんね。ゴルフの魅力は一言で言うとどのようなことだと思われますか?
橋本 魅力というか魔力というか、一言では言えないです。ただ、ゴルフにはビリヤード的な要素とか野球的な要素など様々なスポーツやゲームの要素が含まれていて、とてもおもしろい。だから若い方たちにもお勧めしたいですね。
名神竜王カントリー倶楽部にて
笠りつ子プロ、片山眞里プロと
それは、私どもの課題でもあります。何か妙案はありますか?
橋本 今すぐには思いつきませんが、将来的には若い方たちのためにゴルフを始めやすい環境づくりのお手伝いができないかなとは思っています。地元京都で開催されるゴルフ大会への協賛などはさせていただいているのですが・・・。
10月に開催される京都レディースオープンにも協賛されますね。
橋本 御社の社長にご紹介いただいて感謝しています。今以上にもっと大きな大会になってほしいですね。地元京都から男子も女子も有名選手がどんどん出てきてほしいので、協力していきたいとは思っています。
若い方たちを受け入れる側である、ゴルフ場への要望であるとかお気づきの点はございますか?
橋本 ドレスコードが厳しいゴルフ場が多くて、ファッションセンス的にどうかなという服装をさせられる場合があります。マナーは大切ですが、見苦しくない程度のカジュアルさを容認してくれるゴルフ場がもっと増えてくれればありがたいですね。それからこれは私の持論ですが、キャディさんは必要なんじゃないかなと思います。最近のゴルフ場はセルフが増えてきて、若い方たちはルールやマナーを教えてもらう機会が少なくなっていると思うんです。キャディさんは水先案内人の役割と同時に、ルールやマナーもしっかりと教えてくれるので、欠かせない存在だと思います。
ただ、安くプレーしたい方もいらっしゃるのでその点はむずかしいかもしれませんね。
橋本 それはよくわかりますが、私はゴルフというものは人生のゆとりを感じさせてくれるものだと思っているので、最近の効率的でせかされるような傾向はどうかな、とは思います。
ゴルフは人生のゆとり・・・いいですね。ゆとりがあれば心身ともに健やかに過ごせますものね。社長は健康維持のために何か気をつけておられますか?
橋本 できるだけ野菜を食べるとか、ラウンド中は一生懸命歩くとかくらいでしょうか。但し、春と秋だけですが(笑)。正直何かしなければまずいとは思いますが(笑)。
最後になりましたが、お仕事やゴルフに関する今後の目標であるとか座右の銘などがあればお聞かせ下さい。
橋本 現在、私どもは京都をはじめ東京・名古屋・大阪などの百貨店やアウトレット、路面店などに出店させていただいています。競合他社が強くてなかなか厳しいのですが、将来的にはもっと存在感を増していきたいですね。それから、座右の銘といいますか、好きな言葉は「一所懸命」。これは現在、ヤクルトの一軍バッテリーコーチをされている野村克則さんに教えていただいた言葉です。彼は私どものお客様でもあり、とても仲良くしていただいています。克則さんは元プロテニス選手でスポーツキャスターの松岡修造さんから教えていただいたそうです。
「一生懸命」ではないのですか?
橋本 一生ずっと継続して、懸命に頑張るというのはなかなか難しいけれど、一瞬一瞬をかけがえのないものとして捉え、その場面に集中して全力を出すことはできそうですよね。だから「一所懸命」。松岡さんはサーブやレシーブを打つ時に「この一球は無二の一球なり」ということをおっしゃるそうですが、私もそういった気合を持って仕事にもゴルフにも立ち向かっていきたいなと思います。
本日はありがとうございました。
ウィッツ株式会社 代表取締役
橋本 康恒さん
Profile
京都市在住
1965年(昭和40年)1月22日生まれ 満51歳
●ゴルフ歴 約20年
●所属コース 名神竜王カントリー倶楽部
京都ゴルフ倶楽部
●ハンディ 12(名神竜王カントリー倶楽部)