ザ・会員権
名義書換料・入会諸費用等の値下げ及び期間延長コースが増加
相場は二極分化の様相も、低位価格帯に引き合いの兆し
絶好のシーズン・インになったが市場は、名門や優良中堅コースの購入注文は増加傾向にあるものの、中堅・低位クラスが伸び悩み会員権相場は全体的に横ばいで推移している。
単純平均相場は安定期に入ったことを物語るように80万円台半ばまで回復し、上昇波動を示している(183コース平均)、会員権を取り巻く周辺環境も価格的に値崩れを促進させるマイナス要素も見当たらないことから、今後は需給のバランスがとれた安定した状況を呈していくものと思われる。相場は緩やかながらも夏相場(7~8月)までは上向く気配が強い。
ここにきてゴルフ場の経営環境が大幅に改善されたという報告はないが、経営の再編に向けた経営交代劇はやや増加傾向にある。経営マップも大きく色を塗り変えている。会員コース、パブリックコースを問わず、大手ゴルフ専業企業や新規参入企業への経営移譲や移行が目立ち全体的に効率化が進んでいるのは確かだ。会員の権利が継承されるケースがほとんどだが、会員権の形態に変化がみられるところもあり、購入にはそのあたりの見極めも必要になってくる。
また、最近は法人会員権の見直しが進んで、老舗・名門、新名門等の優良コースを購入する動きが広がりつつある。経済環境の急変に伴う金融商品対象としての買いではなく、購入はもっぱら実需が主目的。経営トップの社交用や企業接待用が中心となっている。
それら法人が対象にするのは優良中堅から高額の価格帯。このクラスは全体相場の動向に大きな影響力を持つため今後の相場形成の面でも動向が注目される。
業界あげて名義書換料改訂の動き
入会促進や相場上昇に大きく貢献
また、これまで会員権購入の際ネック部分であるといわれる名義書換料や入会預託金等諸費用の値下げ及び値下げ期間延長が目立っている。これまでは低価格帯クラスでのキャンペーンが主体であったが、昨年あたりから中堅・高額クラスにまでその傾向が広がっている。
ただ、値下げや入会条件の緩和が進んでいるとはいえ、会員権購入時の総費用に対する割合はまだ50%以上をしめているのが実情。
市場に流通している会員権の内70%強が会員権価格に比べこれらの諸費用が大幅に上回っているのが実情だ。その価格が適正と判断されるレベルにあるところは流通もスムーズ。適正領域とは相場の10%以内というのが業界での定説になっている。
値下げが期間限定や一過性のものではなく、業界全体がスクラムをくんでこの方向に歩を進めれば流通は一気に加速する事は明らか。名義書換料の基準が見直されるようだと市場は一変するだろう。入会総費用の引き下げが相場にもたらす影響は大きく、入会促進や相場上昇にきっちりと反応するのは、市場の鉄則、相場のメカニズムだからだ。
シーズン真只中、様子見していたら気が付けば相場が上がっていたという経験則がいつも語られるのがこの局面。会員権価格100万円以下、総費用150~200万円の価格帯では値を上げているコースも増えている。