ザ・会員権

NICE ON 11月号【Vol. 433】


平均相場のけん引役が法人向けコースに移行する可能性
ボーナス需要を見込んだ個人の問い合わせも増えている

連続して日本列島を直撃した台風は、ゴルフ場にも大きな打撃を与えた。樹木の倒壊による被害も続出したが、何よりも痛手となったのは、入場者減にも繋がったことだ。ゴルフ場のすばやい対応で復旧工事も進み、何とかトップシーズンには間に合う状態にまで回復している。
そんな中、会員権市場は閉塞状況から漸騰相場へ移行。単純平均相場は83万円で前月比プラスマイナス0%と安定した推移が6ヶ月以上続いている。これは、トップシーズンを迎え、各価格帯に満遍なく入会希望が入っていることに加え、300~400万円の高額クラスに法人の物色がみられるようになってきたからだ。年初来、平均相場を下支えしてきた150~200万円の中堅クラスは、中休み。それに取って代り、値ごろ感のある良質なコースに個人の入会希望がシフトしてきたこと。加えて、株価好調などの心理的背景を後押しに業績好調な法人からの買い替えや、ランクアップによる引き合いが増加してきた。これは相場回復、上昇波動を示すシグナルといえる。

これまでは、優良中堅クラスの上昇が、高額クラスの弱い気配をカバーし、低額クラスの続落傾向に歯止めをかける構造だったが、現在は高額クラスの復活が相場の動向を支配している。優良中堅クラスの入会希望が一巡したところで、ひとクラス上の高額クラスにスポットが当たりだしたとみるのが妥当だろう。
高額クラスのコースへの入会希望は、単なる問い合わせレベルから、はっきりと実需に変わってきた。これは、予算を上積みしてもコースの価値観が色あせないからだ。法人は接待用に、個人は安定したクラブライフの獲得にというニーズが鮮明に表れている。ただ、法人筋といっても上場企業や業績好調な業種など限定的だ。個人でも当然オーナー企業が多い。半面、個人は、値ごろ感のある都市近郊の良質なコース(名義書換料を含め100~150万円)に目を向けている。リタイア組みの買い替えも盛ん。ボーナスを見込んだ入会希望がサラリーマン層の中堅・幹部クラスに広がっている。
関東エリアでは法人の入会希望が増加し平均相場も上向いてきている。関西の市場環境と関東のそれは2ヶ月のタイムラグがあるが、関西エリアでも、年末までは、法人・個人とも高額クラスへの入会希望の増加が相場の動向を支配しそうだ。

補充募集も盛ん。二重構造の市場では
経営母体の健全性を視野に入れる必要も

関東エリアでは既設コースの約4分の1が、関西エリアでも40コース以上が補充募集を行なっている。会員権相場が上昇波動を見せることで、新規募集や補充募集の環境も徐々に改善されると思われるが、半面、問題も提起されている。

募集形態は、預託金制のものやプレー権のものなど様々(メンバーズメリットも多彩で複雑)。既設市場で名義書換を停止せず、同時進行で入会の門戸を開放しているところもあり、双方のメリットや価値観にギャップを生む状況も見られることだ。補充募集が何を目的に行なわれているかを見極めるのも選択のポイント。クラブライフを重視するのか、それともとりあえずプレー権を確保し、次なる段階へのステップなのかなど、自分のゴルフライフに合わせた選択が必要。専門業者のアドバイスやコースのメンバーの声に耳を傾けることも失敗しないための会員権の購入の鉄則である。
ゴルフ場の経営マップも多岐に亘っている。ゴルフ場運営の方向性が会員に向けられているのか、単なる資金調達のための募集なのかなどコースによって募集事情もさまざま。
そういった中で、会員権購入も経営母体の健全性を視野に入れる必要があることも知っておきたい。

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