上手くなるパターの極意教えます!

NICE ON 9月号【Vol. 431】


上手くなるパターの極意教えます!

Ⅰ.単調な練習には気をつけろ

①感覚という力をもっと鍛える
近年、エイム・ポイント(※グリーンの傾斜の読み方の理論)やデイブ・ペルツ氏のパターアカデミーの理論が世界的に有名になりパターは理論で指導する傾向が強くなっています。
色々な観点からパターのストロークを検証することはとても良いことですが、忘れてならないのはゴルフ場が生きているということです。芝は朝と夕方では長さが変わっています。傾斜もとても複雑に出来ています。雨が降れば水分を含みます。元来ゴルフというスポーツは、理論というものが一切ない中で、人間の感覚を磨いて成長させるものでした。
しかし、今はどうでしょう。あらゆる事を可視化することによって脳が外側の情報に振り回されやすくなっているように思います。
つまり本来人間が持っている感覚が弱くなる可能性が懸念されます。
スイング理論に関していえば日本は世界から取り残されてガラパゴス状態と言っても過言ではありません。私が毎年サンディエゴに行って世界のスイングを勉強に行くのもこの様な状況があるからです。

サンディエゴで子供達のゴルフスクールを手伝った事がありました。
一番はじめに行うレッスンはパターでした。レッスンを主催していたランチョ・サンディエゴ・ゴルフコースのヘッドプロであるパトリック・ショーに「なぜ、初めにパターをするんですか?」と聞きました。するとパトリックは「カップにボールを入れるスポーツがゴルフだろ!一番大切な事を一番初めに教えるのさ!」と答えました。私は心から納得し、なぜ日本ではボールにクラブを当てるという事から教えてしまうのかと疑問に思いました。
つまり、形にはめ込んでしまうスタイルを優先し、一番大切な感覚という宝物に気付きにくくなっている様にも思います。
練習で気をつけてほしい方法があります。それは、ボールは1球だけ使うと言う事です。つまり「一球入魂」とでも言うのでしょうか。練習グリーンであろうと常に本番さながらで行なう様にしましょう。間違いなく結果は変わってきます。

②意識的に入れるイメージを持つ
「入れるイメージを持つ」と言うと、それは当たり前でしょうと言われそうですが、本当に入れるイメージを持つためにはあらゆる情報が必要です。ラインや傾斜、芝の種類、芝目などなど・・・。
それらの情報をしっかりイメージに落とし込み自分の感覚で表現出来るかが大切です。ストロークの方法やフェイスの向きはその次の課題と考えるべきでしょう。
ボールが転がるスピード、カップにボールが入る音までもイメージ出来るかやってみて下さい。ここまでやる事が、入れるイメージを持つと言う事です。

Ⅱ.結果は考えイメージした通りになる事が多い

①思考は現実化する!?
ナポレオン・ヒルの「思考は現実化する」と言う有名な本がありますが、この定義はパターにも当てはまると思っています。
もちろん日々の練習があっての事ですが、試合や緊張が起こった時に結果を出すエネルギーは体を如何に動かせるだけの思考をできるか?にかかっている事は間違いありません。
前に書いた様にまずは入るイメージをしっかり作り、後はカップにボールが入る事を疑わない気持ちを持つ事です。
逆にどんなに簡単なラインでも外れると思えば外してしまいます。
これは皆さんも納得される方が多いのではないでしょうか。
もちろん技術的な練習は必要ですが、機械的になり過ぎて感覚やイメージが無くなる事がない様にしたいものです。有名なところですと青木功プロや片岡大育プロのパッティングはやや変則気味に見えますが2人ともパターの名手です。
自分の感覚や気持ちの持ち方はとても大切だと言う事です。

②時間をかければ入るという訳では無い
この「時間をかける」とはアドレスに入ってからの時間を指しています。
アドレスに入ってから、打つまでにやたらと時間をかける方がいますが、この時間は何の為の時間なのでしょうか。
ほとんどの場合、不安や迷いであり、無駄な時間の場合が多いと考えられます。なぜなら、パターの名手と呼ばれる方々は必ずアドレスに入ってテンポ良くストロークに入っていく方ばかりだからです。
人間は骨格と筋肉で動く様に出来ています。これらをスムーズに動かす為には筋肉の緊張を生まない様にする事が大切ですが、筋肉は約3秒以上静止状態でいると徐々に硬直状態に入っていきます。
このことから考えてみてもアドレスに入ったら速やかにテンポ良くストロークして行くことが大切と言えるでしょう。
そして、心配や不安はしっかりとした観察力と判断力によりアドレスに入る前に解決しておく事が大切です。
パターの最大の敵は「迷い」です。

Ⅲ.構え方は毎日変わっても良い

① 毎日同じ構えをすること自体が不自然
ある日、生徒さんが新しいパターを持参してレッスンにやってきました。高級なパターを自分のストロークに合う様に作ってもらったと嬉しそうでした。
私は、そのパターで是非打ってみて下さいよと言いました。生徒さんは数発パターマットで打ちながら不思議そうな顔をしていました。私はどうしたんですか?と尋ねると「パターを作ってもらった時は全て真っ直ぐ転がったのに、今日は全て右に転がる?」と言うのです。私が、「どの様にチューニングしてもらったのですか?」と尋ねると「フェイスを右向きに曲げてもらって、これからずっとその時の形で打って下さい!」と言われたと言うのです。
私は、呆然としました。その時と同じ形で打つなどと言う事自体、非現実的であり、自然のグリーン上の傾斜が関わってくると、この方は今以上に迷う事でしょう。

結局この方はこのパターを使い続けることはありませんでした。
大切な事は、今の自分を感じ取れるかです。斜面が入れば多少のスタンスの違いは出てきて当然です。
ストレートにストローク出来なくても良いと言っているのではありません。平な人工のマットの上での計測はあくまでもマットの上でのその日の状態を表しているのだと言う事です。実際のグリーン上では風や音、芝の感覚が同じではありませんので、固執してしまうほど怖い事はありません。
出来るだけコースの練習グリーンでラウンド前やラウンド後に芝の感覚やご自分の心地よい立ち方を探る練習を沢山行って下さい。

Ⅳ.ラインを読むとは

一、イメージをどれだけ具体化出来ているか!
一、スピードと止まり方までイメージ出来ているか!
一、グリーンに上がる50ヤード先からグリーンを読む
一、グリーンの最高点と最下点を見つける
一、芝の長さを確認しておく

グリーンを読むと言ってもよく解らないと言う方が多くみられます。上に記した内容を意識してグリーンをよく見る癖を付けて行って下さい。

「パット・イズ・マネー」
ゴルファーの方々は聞いた事があるのではないでしょうか?
全英オープンを4回制したボビー・ロックが「Drive for show, putt for dough」(ドライバーは見せる為、パットはお金の為)と言ったと言われたことから日本でも多くのゴルファーが「パット・イズ・マネー」と言いだした様ですが、お金の事ですので、プロゴルファーに限った話ではありますが、如何にパターが大切かと言う事は伝わってきますね。
皆さんも是非、お金を稼ぐ様なつもりで真剣にパターに取り組んでみてはいかがでしょうか?

志村 博康プロ(しむら ひろやす)

 志村 博康プロ(しむら ひろやす)

スイングファクトリー代表。高校卒業後アメリカ・サンディエゴに渡米し、USPGAプロのパトリック・E・ショウ氏に師事し、最新のゴルフ理論を学ぶ。カリフォルニアミニツアーにも参戦。京都初のTPI(Titleist Performance Institute)認定プロコーチ。メディカル、フィジカル、テクニカルにおけるゴルフのスペシャリストとして世界基準認定を取得しております。
現在、よしみねゴルフクラブ(京都市西京区)にて完全個人指導にこだわったマンツーマンレッスンを実施。

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