奈良柳生カントリークラブ(奈良県)

NICE ON 9月号【Vol. 431】


清冽、大胆、緻密。名匠・加藤福一氏が思い描いた理想の造型を実現した18ホールズ。QTの大会や日本プロゴルフ選手権予選会の舞台ともなった完成度の高いコースレイアウト。

東大寺の背山、清冽な空気が流れる伝説の里、柳生。
関西文化学術都市構想が着々と進む歴史の地に1996年(平成8年)9月11日、設計者に耽美派の名匠・加藤福一氏を迎え奈良柳生カントリークラブは開場した。27ホール規模のコースがレイアウトできる広大な敷地に大胆に、ゆったりと18ホールがレイアウトされている。

設計コンセプトは「自然のままに」で、歴史的文化財の保存にも留意された全体像は類まれな雰囲気が味わえるコースとなっている。
まずゴルファーを迎えてくれるのが一刀石に刻まれたコース名標示。石舟斎(柳生宗厳)が天狗と試合をした時に一刀のもとに切り捨てたという伝説に想いを馳せながら、大和棟をイメージした総和瓦葺の大屋根を持つクラブハウス(奈良市建築文化賞「景観賞」を受賞)へと導いてくれる。

コースは、20有余年の星霜と歴史が物語るように、ますます磨きがかかってきた。使用ティーによってあらゆるレベルの層が楽しめる攻略ルートも設定されているが、バックティーからはしっかり距離もある。各ホールの完成度は高く、JGTOのQTやPGAの日本プロゴルフ選手権の予選会、奈良県オープンなどの会場ともなったことで実証済みだ。
心象風景に残るホールは、なんと言っても13番ミドル。12番をホールアウトして順慶橋を渡ると設計者が敢えて贅沢に設計したという『城の谷池」が目に入る。ティーグランドからグリーンが視認できない『城の谷池』を囲むように左へややドッグレッグしたレイアウトだが、グランドシニアでもみんなと同じIP地点(ティショットの落下地点)近くに到達できるように配慮されている。アベレージゴルファーには正確なショットが求められミスショットすると難度が増す。ゴールドティーからの戦略ルートもきっちり計算され、厳しさと優しさ、緊張と緩和が同居したホールだ。

この一帯は、城の谷と言われ城址は藤尾城と呼ばれ東大寺本堂消失の時代を彷彿させてくれる。文化財保存にも余念がないが山並みが幾重にも織り成す遠景が四季折々の風景と融合するような造型にも設計者の意図とクラブの訴求する悠久の伝統が見えてきて心が和らぐ。また、17番のビーチバンカーも色の対比が鮮やかだ。
いにしえの地に生まれた歴史とスポーツ文化が同時に味わえる数少ないゴルフ場と言えよう。またレストランは、世界遺産・春日原始林に佇む老舗旅館『奈良・春日奥山月日亭』を礎にした本物の日本料理が楽しめるのも嬉しい。

少数会員制によるゆとりのクラブライフを満喫
情報開示に見られる透明性の高い運営は好評

会員本位の運営は、開場以来脈々と受け継がれており斯界でも高い評価がある。また、毎月発行される『事務局便り」も透明性があり、クラブの方向性が見て取れると会員の安心感を生んでいる。豊かなクラブライフを過ごすための空間づくりにもきめ細やかな配慮が窺えるが、それをサポートしているのが総支配人の開場以来書き綴っているブログだ。ゴルフ界の動きからプレーにまつわる情報まで幅広い内容だが、ゴルフを愛すればこその視点が映し出されていて好評だ。
スタッフの教育も行き届きゲストプレーヤーからの評価も高い。ホームコース指定銘柄としても支持は多いが、接待用コースとしての需要も多いのが特徴。会員の資質も高く会員間の交流も盛ん。近鉄奈良駅からタクシーで片道約20分で往来できる利便性も注目ポイントだ。

17番フェウェイ

コースデータ

  • コース規模=18ホール、7150ヤード、パー72
  • コースレート=73.9
  • 正会員数=968名
  • 設計者=加藤福一
  • 練習場=300ヤード、12打席
  • 交通アクセス=第二阪奈道路・宝来ランプから20キロメートル
  • 京奈和自動車道・木津ICから15キロメートル。
  • クラブバス=近鉄奈良・JR奈良駅から発着(要・事前確認)
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