おごと温泉 びわ湖花街道 代表取締役会長
佐藤 良治さん
Yoshiharu Sato
今回のゲストはおごと温泉 びわ湖花街道 代表取締役会長 佐藤良治さんです。びわ湖花街道はすべての客室からびわ湖が一望できるという絶好のロケーションが魅力のたいへん趣のある温泉旅館です。佐藤会長は現在、経営は社長であるお嬢様に任せ、セカンドライフを満喫中。若い頃からのご趣味であるゴルフを始め、73歳から始められたマラソンに加え、昨年からはロードバイクも始められたそうで、失礼ながら来年80歳を迎えられる方とは到底思えないほどのチャレンジ精神に心から感服いたしました。
取材日:2018年6月21日/ 場所:おごと温泉 びわ湖花街道
おごと温泉 びわ湖花街道とびわ湖への思い
びわ湖花街道さんのご創業はいつ頃でしょうか?
佐藤 前身の国華荘をこの地で創業したのが昭和15年です。現在のびわ湖花街道という名前に改称しましたのが平成13年です。
雄琴温泉といえば由緒ある温泉地として有名ですね。
佐藤 一説によりますと今から約1200年前の平安時代に、比叡山延暦寺の開祖最澄(伝教大師)がこのあたりを通られた際に傷を負った鹿が水に浸かってそれを癒している姿を見て、何か薬効があるのではないかと掘削してみると温泉が湧き出てきたと言われています。
どのような効能があるのでしょうか?
佐藤 泉質はアルカリ性で神経痛や疲労にはもちろん、冷え性や美肌効果にも優れていて、特に女性に優しい効能があります。当館には露天風呂をはじめ4つの大浴場があります。
どのようなお客様が多いのでしょうか?
佐藤 平成になってからは地元の旅館業者の方たちと一緒に女性やファミリーをターゲットとした温泉地に変えていくために取り組んでまいりました。その結果現在では6割以上がファミリーや女性客です。また、館内にはリラクゼーションスパも完備しておりますし、土日に限ってですが日帰りでお食事を召し上がってお風呂に入っていただけるプランもございます。
女性人気が高いのもうなずけますね。お料理にもこだわりがございますか?
佐藤 近江牛やびわ湖の湖魚、四季折々の地場野菜など地元近江の食材にこだわったお料理をお出ししています。また、近江の地酒もご用意しています。
佐藤会長はびわ湖の水質改善のためにもいろいろとご尽力されておられると伺っております。
佐藤 昭和47年、48年頃のびわ湖の水質は非常に悪く、赤潮が発生したりして飲み水として耐えられない状態でした。それを見かねて当時私が所属していた大津青年会議所で「青の輝き」という自主映画を作成し、合成洗剤追放運動に取り組んだのです。それが主婦層を中心とした県民運動に発展し、「滋賀県琵琶湖の富栄養化の防止に関する条例」(琵琶湖条例)の施行へとつながりました。その時の運動によって現在も近畿1400万人の水がめとしてびわ湖の水質が保持されているのです。私のびわ湖に対する思いはそこが原点で、3年前からは公益社団法人びわこビジターズビューローの会長も務めております。その間「びわ湖とその水辺景観-祈りと暮らしの水遺産」が平成27年文化庁より「日本遺産」の第一号として認定されるなど一定の成果をあげました。また、今年7月から12月まで「虹色の旅へ。滋賀・びわ湖」をキャッチフレーズに滋賀県観光キャンペーンを展開し、滋賀の魅力を国内外へ発信していきたいと考えております。
露天風呂付特別室「湯けむり浪漫」
お食事処「琵琶浪漫」
地元近江の食材にこだわったお料理の数々
ゴルフライフとご趣味のこと
それではここからは佐藤会長のゴルフライフについて伺いたいと思います。ゴルフとの出会いはいつ頃でしょうか?
佐藤 大学4年生の時です。とは言ってもゴルフを始めたということではなくて、皇子山カントリークラブでキャディのアルバイトを始めたんです。それまでは全くゴルフの存在すら知らなかったんです(笑)。ただ当時はキャディがクラブを振ることはご法度という時代でしたので、実際にゴルフを始めたのは29歳で青年会議所に入会した時からですね。「毎月ゴルフをするので入らないか」というお誘いの言葉に魅かれて・・・(笑)。
興味は持っておられたのですね。学生時代に何かスポーツをされておられたのでしょうか?
佐藤 いいえ。私はどちらかというと文科系で、観世流の謡を高校3年生の時にやり始めて謡曲同好会を立ち上げたほどですので・・・。
最初はどなたかにレッスンを受けられたのでしょうか?
佐藤 旅館の人たちと一緒にゴルフをやろうと琵琶湖カントリー倶楽部のレッスンプロに来ていただいて3か月間レッスンを受けました。ただ、あまり真剣ではなかったもので(笑)、あの時にもっとしっかりとやっておけばよかったなあと後悔しています(笑)。
現在はどのくらいのペースでラウンドされていますか?
佐藤 年間30ラウンドくらいでしょうか。月に2~3回というペースです。
どのような方とラウンドされることが多いのですか?
佐藤 同業者の方、高校の同窓生、大学の能楽部のOBの方などが多いですね。
お気に入りのゴルフ場はおありですか?
佐藤 その時々でラウンドさせていただいたゴルフ場がいつもベストだと思っています。
第8回ビューロー会ゴルフコンペ(甲賀カントリー倶楽部)
佐藤会長にとってゴルフの魅力というのはどのようなところにあるとお考えですか?
佐藤 私自身、人を思いやることができるようになったことですね。一緒にラウンドしていただく方やキャディさん、スタッフの皆さんにはもちろんですが、コースの芝とか樹々に対しても感謝ですね。こうして私が気持ちよくゴルフができているのは人や自然があればこそ。すべてのことに感謝したいという思いがあります。これは私がいま取り組んでいるマラソンでも感じる感覚です。
マラソンをされておられるのですか!?
佐藤 はい。73歳から始めました。家内を10年前に亡くし、会社は社長である娘に任せておりましたもので、何か打ち込めるものがないかと探していた時に友人に「ホノルルマラソンで走ろう」と誘われて始めました。ただ、全く経験がないためいきなりは無謀だと思いましたのでびわこ成蹊スポーツ大学の公開講座に月2回6か月間通って走り方、靴の選び方、栄養の取り方などのレッスンを受けて73歳の時に第40回ホノルルマラソンに参加しました。その後も毎年講座を受講してそこで知り合った方たちと6回連続参加しました。
すばらしいですね。参加されるのはホノルルマラソンだけですか?
佐藤 フルマラソンで毎年参加しているのはホノルルと京都、大阪マラソンです。東京マラソンにも参加したいのですがなかなか当選しませんので残念です。後はハーフマラソンに年間2回程度でしょうか。
フルマラソンで42.195kmですね。大体5時間くらいでしょうか。走り続けるだけでも大変だと思ってしまいます(笑)。
佐藤 その講座で教えていただいていたので大体のイメージは描けていました。ただ、実際に走ってみると本当に別世界で、はまってしまいましたね(笑)。
どのようなところに魅力を感じておられますか?
佐藤 チャレンジしがいがありますし日々の生活の刺激にもなっています。でも一番は自分がマラソンを走ることができているということが何よりうれしいですね。また、走るようになってから人に対する感謝の気持ちが持てるようになったことがうれしいですね。自分一人で走っているつもりでしたが、大会を運営してくださっている方とかサポーターの皆さん、沿道で応援して下さる皆さんに素直に「ありがとう」と言えるようになったのは私にとって得難い宝物です。
人の大切さに気付かされたということですね。
佐藤
はい。私どもの社員に対しても感謝していますし、こちらで働くことによって彼らの人生を豊かなものにしてほしいと思います。
奥びわ湖健康マラソンにて
大津市市民駅伝大会にて
いいお話ですね。佐藤会長がとても若々しくしていらっしゃるのはチャレンジ精神旺盛だからですね。
佐藤 ありがとうございます。実はもう一つ、昨年からロードバイクにも取り組んでいるんですよ(笑)。
ロードバイクもですか!
佐藤 子供の頃に自転車に乗ったくらいしか経験がなかったんですが、昨年5月に世界トップの台湾にある自転車メーカーのジャイアント・マニュファクチャリングのCEOが当館にお見えになった際に、びわ湖一周サイクリング(ビワイチ)をするから一緒に走りませんかと誘って下さったんです。それでついOKしてしまい(笑)、3日間かけて完走しました。それで終わりと思っていたのですが今度は大津商工会議所会頭の大道さんに誘われて、今年の4月28日から5日間かけて韓国縦断コースを走ってきました。
韓国:釜山→ソウル563kmを走破
釜山→ソウル完走証
お仕事、ゴルフ、マラソン、ロードバイクと大変アクティブに活動されていてとても来年80歳を迎えられる方とは思えません(笑)。健康の秘訣をお聞かせください。
佐藤 特に何かをしているわけではありませんが、食事には気を使っています。血糖値が急激に上がらないように野菜を先に食べて炭水化物は最後にするとか、三食をきちんと食べるようにしています。また、体重と体脂肪率、基礎代謝は毎日記録を取っていて、その変化を見て、これを食べたら体重や体脂肪率が上がるなということは自分なりに気を付けています。また、たばこは随分前にやめ、お酒もマラソンを始めてからはやめました。
会長のお元気さに比べて最近の若い方たちは元気がないようで(笑)、なかなかゴルフをされる方も増えません。何か妙案があればお聞かせください。
佐藤
今の若い方は我々の若い頃とは全く違う価値観を持っています。しかし、だからと言って昔の価値観を押し付けることは間違っていると思います。彼らの嗜好やニーズをくみ取って彼らの生活の中にゴルフをいかにリンクさせていくかを考えないといけないと思います。そのためにはゴルフを一部の階層の人たちのためのスポーツにするのではなくて、ゴルフ場はもっと門戸を開放し、ゴルフ業界全体が時代の変化に対応して古い体質から脱却していく必要があると思います。さらに、今後は人口減少社会になっていくわけですから、内需だけにこだわらず、いかに世界中からゴルファーを呼び込むかという視点が重要です。
そしてこれは私どもの旅館業界もそうですし、私の趣味である自転車業界でもそうで、世界中から人が呼べるような夢のある取り組みが必要だと思います。市場はやはり世界だと思います。
会長のグローバルな視点はさすがです。
最後になりましたが今後の目標がございましたらお聞かせください。
佐藤 まず、ゴルフではエージシュートを継続させたいと思います。実は去年の11月に京都ゴルフ倶楽部舟山コースで高校時代のOB会の例会コンペで77を出し、さらに今年3月には76を出してエージシュートを達成したんです。また、マラソンでは4時間半というタイムを目指したいと思います。さらに、ロードバイクでは来年あたり台湾一周に挑戦したいですね。9日間で1000kmを走るのですが、それを80歳を超えて達成した人はまだいませんのでチャレンジしがいがあります(笑)。
いずれもぜひ達成していただきたいですね。本日はありがとうございました。
おごと温泉 びわ湖花街道
http://www.hanakaido.co.jp/
代表取締役会長 佐藤 良治 さん
Profile
大津市在住
1939年9月26日(満78歳)
●ゴルフ歴 約50年
●所属コース 比良ゴルフ倶楽部
近江カントリー倶楽部
蒲生ゴルフ倶楽部
●ハンディ 16(比良ゴルフ倶楽部)