ザ・会員権
会員権選びはコース内容や運営姿勢重視がより鮮明に
夏までは横ばい、秋口以降に上昇波動に転じる兆しも
2016年は112年ぶりにゴルフがオリンピックの正式種目に返り咲き、ゴルフ復活に期待感が膨らんだ。それに呼応して、厳しい経済環境の中でも全国のゴルフ場の入場者数は前年比1.44%増となり、練習場でも2%台の入場者の伸びを示すなど、ゴルフ人気の健在ぶりを示した。
こういった中で、会員権市場はどう動いたか。平均相場は夏場の需要が冷え込んだため、年間で5.8%落ち込み、12月時点で81万円となった。購入希望が減少し、様子見する人が増え、停滞感がぬぐえなかった。それでも、秋口から購入希望者も戻りかけたが、ボーナス需要も効果なく上昇波動が失速した。購入の問い合わせは入るが、会員権市場の取引の動きは売り先行が続くという展開で終えた。
2017年の市場は緩やかな上昇が期待できる
2017年の会員権市場は、どうなるのか。これといった起爆剤も少ないため、大きく反発する事は予測しがたい。ただ、昨年11~12月には優良中堅クラスの買いが目立つようになった。中でも、運営姿勢やコース内容の良いコース、会員権価格(相場)に比して、内容が良く割安感を彷彿とさせるコースが購入されて、相場反発の兆しをみせた。
これらのコースの購入者層をみると、リタイア層やリッチシニア層が多く、最終のホームコースとして相応しいマイコースを選びたいという動機が窺える。また、ワンクラス上のコースを、予算を増額してでも購入するといったケースも多く見られた。加えて、老舗・名門ゴルフ場の会員権取得も戻ってきており、入会条件の緩和、名義書換料の減額、年会費の改訂などが進んでいるコースが選ばれて、購入の動機となっている。
単純平均相場も6~8月の動きの鈍い季節には、80万円割れも一時的にはみられるかもしれないが、秋口からトップシーズンインにかけて徐々に持ち直し、年間トータルでは、緩やかな上昇波を描いていくだろう。というのも、潜在需要は強い感触が感じられ相場に底打ち感が広がっているためだ。2017年の戻りは5~6万円。2016年の落ち込み分ぐらいは上昇するだろう。
さらに、ゴルフの各関連業界でもジュニアの育成を始め、日本プロゴルフ協会や練習場連盟、ゴルフ場連盟が連携してゴルファーの裾野拡大を目指したプロジェクトを推進している。プロの試合も熱戦が繰り広げられ、ニューヒーロー・ニューヒロインの台頭も期待されている。こういったフォローの風を受け、2017年は会員権市場にとっても、好循環が窺える展開が期待できると言えよう。