ザ・会員権
市場は入会希望者が増え、需給のバランスが良化、単純平均相場も落ち着いた状態で、買い注文は人気コースに集中する傾向もあるが、エリアや価格帯では満遍なく広がっている。
男女若手プロの活躍、東京オリンピックへの期待感からゴルフ人気が復活している。スポーツ庁の発表でもゴルフ参加希望率が1ポイント伸びている。特に、20~30代の若者の参加率が伸びており、心配されるゴルフ人口減少にも歯止めがかかりそう。
現状では40~60代のゴルファーが圧倒的だが、総じてゴルフ業界のエネルギーは衰えていない。1~3月期のゴルフ場入場者数も前年度比で増加した(ゴルフ専門誌の調査)。
ゴルフが国民的スポーツとして定着してきた感がある。
会員権市場に目を移すと、関西エリアの単純平均相場は81万円(前月比1万円下げ)。年初から2%の下げとなったが、これは年度替りにおける想定内の動き。今後は秋のシーズンに向けて入会希望が増え成約率も高まることから、相場が大きく変動することは無いと思われる。
消費増税前の駆け込み需要や年会費値上げ前の特需も見られない。経済や株価の上下動にも影響されず会員権相場は、完全に需給のバランスで自律相場を形成している。買いたいときに買う、売りたい時に売る。言うなれば、会員権に売買のベストタイミングはなく、会員権がゴルファーのプレーを楽しむ上での必須アイテムとなったと言えるのかもしれない。
個人の実需に加え、法人筋からの入会希望も増加している。入会希望が多いのは、都市近郊コースで相場に比して割安感の強いもの。業績の回復とともに接待ゴルフが復活したことから、名門や老舗コースの買戻しに出ているためだ。個人ではトーナメント開催コースやコースの完成度が高いと言われるゴルフ場に人気が集まっている。また、積極的なコース改造、経営の刷新も入会意欲を後押ししているようだ。人気コースに入会希望が集中しているがコースに限定的なものはなく、相場が必要以上にオーバーシュートする心配はない。程よいバランスが保たれた状況下で推移しているからだ。
エリア別の入会希望の比較的多いゴルフ場を見てみよう。
兵庫県では、花屋敷GC、芦屋CC、西宮CC、よみうりCC、宝塚GC。大阪府では、枚方CC、茨木国際GC、伏尾GC、天野山CC。京都府では、城陽CC、京都GC。滋賀県は比良GC。奈良県では、KOMACC、ディアーパークGC、オークモントGC、奈良国際GC。
なお奈良国際は市場に出ることが少ないので専門業者と密な連絡を取っておくことが無難である。
名門コースや高額クラスが動き出したのは、決算期移行による法人筋の動きが活発化したためだ。また、個人でも多くみられるのが買い替え需要。相場が低水準で推移、上のクラスとの差が縮まってきた。加えて、売買ともバランスがとれ、売り易く、買い易い状況となっていることがその背景にあるためだ。
今後の動きとしては、名門、優良コースの平日会員権に目が向けられることが予想される。利用方法やクラブライフの過ごし方も時代とともに変わってきている。
会員権の購入に際しては、「価格」や「コースの良し悪し」より、最近では「ゴルフライフがエンジョイできる資質があるかどうか」が決定条件となっているようだ。