「キャスティング(アーリーリリース)」の原因と修正方法

NICE ON 8月号【Vol. 418】


「キャスティング(アーリーリリース)」の原因と修正方法

日々のレッスンの中で多くのゴルファーのミスの原因になっていると考えられるのが俗に言われる「ほどきが早い」「すくい打ち」などと言われている現象でしょう。
これを「キャスティング」と言ったりします。キャスティングとは釣りをする人などは分かると思いますが、釣竿をリリースする際の動きの事で、手首が伸びていく動きのことを言います。

正しいキャスティング

キャスティングが、ダウンスイング時に起こることでシャフトのしなりが開放されてボールにエネルギーが正しく伝わりづらくなります。
ヘッドスピードが速そうなのに飛距離が出ていない人、ダフリ・トップなどが多く出てしまう人などはこの原因が考えられます。
キャスティングをアーリーリリースと言う表現を使う場合もありますが「アーリー」は早いという意味ですので「リリースが早い」と言う事になります。
さて、この現象はなぜおきてしまうのでしょう。そして、その解決策を探っていきましょう。先ずは主な原因ですが、フィジカル的な観点で考えられるのが、手首の柔軟性の制限がある方。特にも右手首の甲側への屈曲は重要な要素と言えるでしょう。
また、考え方で陥りがちなものとして「左肘をちゃんと伸ばす」事を必死でされている方をよく見かけますが、これも大きなキャスティングの原因と言えるでしょう。
手のひらを向かい合わせにした状態で前習いのように腕を胸の前方に真っすぐ伸ばした状態で手首を下に(手首を小指側に)曲げて見ましょう。60度以上は曲がるように出来ています。では上に(親指側に)曲げて見ましょう。これはほとんど動きません。つまりスイングのトップからの切り替えし時にクラブが背中側に残るようになっているのは左の肘に余裕を持たせているからなのです。
インパクト時の安定感を勘違いして左肘を頑張って伸ばすことはあまりし過ぎないようにしましょう。

切り返しでコックが保てているジャスティン・トーマス

最後に本質的なところで考えて行きますと下半身のリードの不足が考えられます。
トップの切り替えし時に下半身が先行動作を行う事で(キネマティック・シークウェンス)上半身に対して反作用の力が加わります。この事によってクラブが下方に下りてくる作用が少し遅れます。これが「ための出来た切り替えし」などと言うことになります。
ここでも下半身のリードに必要なフィジカル的要素を少しお伝えしておきましょう。下半身リードする為には下半身分離運動が出来る必要があります。つまり、肩の位置は動かさず骨盤を主とした下半身の回転がどの程度で切るかがカギになってきます。始めは骨盤の回転と肩の動きが一緒になってしまう方が多いですが、ゆっくり下半身のみの動きに意識していけば下半身分離運動が出来てきます。どうしても上半身と下半身が一緒に動いてしまう方は股関節の固化、足首の固化が考えられますのでその辺の柔軟運動を行なってから再チャレンジしてください。
これらの改善により、ダフリ・トップの軽減。飛距離アップ。引っ掛けやドライバーのスライスの改善が期待できます。
さあ!!秋のベストシーズンに向けて頑張りましょう!!
練習時は、水分の十分な補給と適度な休憩をしっかり取って練習に励んでください。

志村 博康プロ(しむら ひろやす)

 志村 博康プロ(しむら ひろやす)

スイングファクトリー代表。高校卒業後アメリカ・サンディエゴに渡米し、USPGAプロのパトリック・E・ショウ氏に師事し、最新のゴルフ理論を学ぶ。カリフォルニアミニツアーにも参戦。京都初のTPI(Titleist Performance Institute)認定プロコーチ。メディカル、フィジカル、テクニカルにおけるゴルフのスペシャリストとして世界基準認定を取得しております。
現在、よしみねゴルフクラブ(京都市西京区)にて完全個人指導にこだわったマンツーマンレッスンを実施。

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