自分の限界を打ち破るゴルフ的脳の作り方

NICE ON 10月号【Vol. 432】


1. なぜ我々は、スコアの限界を自分で決めてしまうのか?

ゴルフは、色々なレベルの方々が一緒にプレー出来る素晴らしいスポーツです。つまり、意識的ゴールセッティングも個人差が大きいスポーツと言えるのですが、皆さんは、自分の能力をどれくらい評価しているでしょうか?
脳科学界で、注目されている茂木健一郎さんの著書では、脳に限界は無いと言っておられます。つまり、限界を作り出しているのは本人の思考であり、この限界を破る事が出来るのも本人の思考であると言うのです。
では、どうすれば自分の限界を打ち破って可能性を高めていけるのでしょうか?
その鍵は、ドーパミンにあります。
ドーパミンは、脳内に快感を生み出す物質で、例えば今取り組んでいるプロジェクトがうまく行ったとか、打てなかったドライバーが上手く打てたとか、脳が喜びを感じるとドーパミンが増え、脳はさらに喜びを感じていくのです。
ここにもう一つドーパミンを増やすポイントがあります。それは、行動に負荷がかかればかかるほど、それを達成した時のドーパミン分泌量は多いと言う事です。つまり、いずれにしろチャレンジ精神があってこその成長であり、限界を打ち破る力になるのです。

2. ゴルフ脳の限界を外すにはどうしたら良いのか?

さて、それではもう少し詳しく脳の限界を打ち破るコツを掴んでいきましょう。
はじめに言っておくと「あなたの限界は、ずっと先にあります」と言う事です。
そして、最大の敵・・・・・・それは、「常識」と言う逃げ道です。
皆さんの限界を低く設定してしまう悪魔の囁き!それは、「どうせ無理だ」です。
どうでしょう???皆さんは、日頃ゴルフ以外でもこの悪魔の囁きを口にしたり、思考したりしていないでしょうか?そして、最後には「常識的には・・・・・・」なんて意味もないことを会話していませんか?
そうです。これが、最大の敵でありドーパミンの分泌を阻害し限界をすぐそこに作り出しているのです。
もうお分かりですね!あなたが限界を破るには、あなたの脳の中をリニューアルすれば良いのです。
リニューアルしていく為のコツは、自分の脳にフェイントをかけることです。例えば、スタート時に100回しようと決めていた素振りを98回終わったところで自分にあと100回いくでぇー!!とフェイントをかけるのです。一瞬、脳は戸惑いますが自分を信じてもう100回行なってみるのです。
200回素振りを終えたあなたは、あなたの脳は、ドーパミンでいっぱいです。
満足感でいっぱいです。
頭(脳)・心・身体が一体になって「やる気」が満ち溢れてくるのです。この実は簡単な行動を「やるか」・「やらないか」だけなのです。

この様な行動をとる事の出来ないタイプの方は、自分の評価や他人の評価を適正に行う事が苦手です。ある試合で、最下位から4分の1の選手は「かなり出来たので今後は上位を狙える」と語り、上位に位置する選手ほど「まだまだ努力が必要だ」と答えています。つまり、常に自分と向き合い脳の限界にチャレンジしている人ほど正しい判断や行動をとる事が出来るのです。これを「ダイニング=クルーガー効果」と言います。これはどの様な人が正しい自己評価を下して、どの様な人が誤った自己評価を下しているのかを検証した2人の学者から取られた名前です。つまりゴルフ場でどう見ても無謀と思える攻め方をしている方は、その攻めがどれほど困難なことかを正しく判断できていない可能性があります。冷静に今の現状を判断してレイアップしたり、グリーンのセンターを狙える事が出来る人は、普段から努力を惜しまず脳の限界にトライ出来ていて、正確な自己評価を下せる人と言えるのです。

3. 限界を決めてしまうゴルフ脳から、可能性を生み出すゴルフ脳にしてベストスコアを更新しましょう!

私が書く原稿に度々登場する名コーチ、ハービー・ペニックの話の中にテキサス大学の監督時代のエピソードがあります。
あなたが、もしスタートホールから3連続バーディーを取ったとします。さて4ホール目のあなたのスコアは?と言う質問を部員全員にしたそうです。そして、「それはもちろんバーディーに決まっています!」と答えた選手だけをレギュラーに採用して好成績を残したと言う話があります。
皆さんはどうですか?この質問をされて、すかさず「それはもちろんバーディーですよ!」と答える事が出来るでしょうか?
これは今の皆さんの実力に沿った話ではなくあくまでも思考方法の問題で、スタート時から3連続バーディーを取れる実力の自分を想像して考えなくてはなりません。つまり、どんなに実力がついても思考の方法を間違えると実力を発揮できなくなると言う事なのです。
3連続バーディーを取れる自分を冷静に判断して今のプレーに反映させていく事が、とても大切です。
前にも記した様に、ここでも大切なのは「常識」と言う幻に囚われない事が大切になります。初めは、「もしかしたら出来るかも?」からのスタートで良いので、一歩ずつ「自分を信じてあげる」事の大切さを理解していきましょう。「もしかしたら出来るかも」を →「自分はできる!」に変えて行くのです。ここで多くの場合皆さんが探すのが「理由」です。言い換えれば「根拠」を見つけ出そうとします。そして多くの場合「根拠」を見つける事が出来ず →「出来るはずが無い」に立ち戻るのです。

しかし、皆さん考えてみてください。あなたが1歳の頃「自分は言葉なんか喋れないだろうな~」なんて思わなかったはず、そして確実に今皆さんは日本語を流暢に話しています。つまり、皆さんは自分で自分の壁を築く「クセ」を成長と共に身につけてしまっているのです。つまりやるべき事は、「子供思考」に戻る事。根拠のない自信をいかに持つか!なのです。
ここで簡単で効果的な方法をお教えしましょう。それは「過去完成形」と「感謝」です。パターを打つ前に「ボールがカップに入りました!ありがとうございます。」と心の中で感謝します。人間は、感謝されている時より、感謝している時の方が心地いい状態にあると言われます。ここでのポイントは、結果はどうでも良いという事です。
多くの人は、ここで結果が悪いと「やっぱり自分には力がないんだ」と思うでしょう。これを皆さんが1歳の時にも思ったか?と言う事です。1歳のあなたが「俺、言葉喋ろうと思ったけど、うまくいかないな。きっと無理だ」と思ったでしょうか?
当然、思ってはいないはずです。この潜在的に希望を形にして行く能力は間違いなく皆さん全員に備わっているのです。この単純で、簡単な発想に戻れるか?ここが結果を出して行く鍵になります。この「クセ」を思い出す方法が「~しました。ありがとうございます」をただ口にします。
気付いた時には、あなたが流暢に日本語を喋る様に70台のスコアを軽々出しています。「自分を信じれば」ですが・・・・・。

志村 博康プロ(しむら ひろやす)

 志村 博康プロ(しむら ひろやす)

スイングファクトリー代表。高校卒業後アメリカ・サンディエゴに渡米し、USPGAプロのパトリック・E・ショウ氏に師事し、最新のゴルフ理論を学ぶ。カリフォルニアミニツアーにも参戦。京都初のTPI(Titleist Performance Institute)認定プロコーチ。メディカル、フィジカル、テクニカルにおけるゴルフのスペシャリストとして世界基準認定を取得しております。
現在、よしみねゴルフクラブ(京都市西京区)にて完全個人指導にこだわったマンツーマンレッスンを実施。

■ 登録・解除フォーム

ご登録されたいE-mailアドレスを入力し、ご希望の項目ボタンを押してください。