ギャラリースタンド

NICE ON 7月号【Vol. 429】


名門コースで女性の正会員を認めるのは世界的な流れ。
霞ヶ関CCで女性の正会員3人誕生、スコットランドでも門戸開放が続く。

2020年東京オリンピックのゴルフ競技の会場となる霞ヶ関カンツリー倶楽部(埼玉県川越市)が、先ごろ女性3人を正会員としたというニュースが報じられた。同CCでは40年前には正会員が2名いたこともあったが、その後は、日曜日にプレーできない週日会員に移行されていた。
東京五輪のゴルフ会場となったことで、この制度(正会員を男性に限定)に疑問符がもたれ、規則変更に動きがみられた。IOC(国際オリンピック委員会)も男女差別を禁じた五輪憲章に抵触すると改善を要求していた。こういった一連の流れの中で、女性の週日会員から正会員への資格変更が認められたものだ。

そもそもゴルフの発祥は14世紀とされている。当時は女性禁制の社交場として発展し、男子貴族の聖域だった。したがって設立の古いゴルフクラブは今もこの伝統を継承しているところは多い。1754年に創設された「ロイヤル・アンド・エンシェント・クラブ」(R&Aクラブ)は創設当初から女性の入会を認めない方針を貫いてきた。
転機は2012年8月、米国のオーガスタ・ナショナルGC(1934年オープン)が女性を会員に迎えたことだ。歴史的に男性にしか入会を認めてこなかったが、長年マスターズのスポンサーを務めてきた米IBMに2012年、女性CEO(最高経営責任者)が就任したことで、彼女を会員に迎えるべきかという問題を突きつけられ、禁を解く格好となった。

こういった名門コースの女性への門戸開放は、ゴルフの本場、源流であるスコットランドでもみられ、歴史ある名門コースも時代の流れや風潮に呼応して男性メンバーだけのコースは姿を消しつつある。これにより、スコットランドでは「MEN ONLY」のメンバークラブは数コースが残るだけになった。
これまで、世界の論調は、全英オープンなど大きな大会を行なうクラブは公共性が高く、女性差別は許されないというものが強かった。
こういった一連の動きを後押ししているのは、大きな大会や公共性のある大会を開催するという事情に関係なく、もはや男性オンリーというものの考え方は時代にマッチしないという認識が広がっているからだろう。マーケティング論でも女性の参加率が高まれば市場は活性化するという鉄則がある。実際、現在のプロゴルフトーナメントの人気も女子プロの活躍がけん引しており、比重も高い。

2020年問題、2025年問題などゴルフ人口減少や、少子高齢化社会による課題は多い。ゴルフは「健康寿命」を伸ばすには最適なスポーツと位置づけられる今こそ、ゴルフをファミリーに、フレンドリーに楽しむことが求められる時代にするべきである。
奇しくも、その流れが名門コースの認識を変えつつある。それも、ゴルフの本場からの芽吹きである。

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