ギャラリースタンド

NICE ON 1月号【Vol. 411】


エッ、68罰打って何?本当に起こってしまったケース。
気の緩みからくる特別ルールへの曖昧さを露呈か。

ゴルフは、融通無碍のゲーム。紳士淑女のスポーツ。オリンピックの正式種目にも帰り咲いた400年の歴史を誇る伝統の競技である。だからこそ、そこにはエチケット・マナーはもとより、れっきとしたルールというものが存在する。
ゴルファーなら周知の通り、ルールに違反すると罰打(ペナルティー)が科せられたり、最悪の場合は競技失格ともなる。ゴルフで生計を立てているプロであれば、ルール厳守はもちろん、ルールに精通していて当然の話。ツアーに出場している選手には、これ以外に罰金というペナルティーもある。
その一例がスロープレー。ほとんどの場合、回数や頻度に応じて罰打と罰金の両方が科せられる。これ以外にも「ミスショットしてクラブを地面にたたきつける」、「ギャラリーに暴言を吐く」、「所定の場所以外(最も見苦しいのは歩行喫煙)での喫煙や吸殻の放置」など現場に居合わせたギャラリーばかりでなく、ゴルフファンの気持ちを逆なでするような行為もその対象となる。
先般、耳を疑うようなニュースが飛び込んできた。「ルールの勘違いで、68罰打」という見出し。なに、それ?って、思ったケースだ。アマチュアの作った珍記録ではない。プロツアーで起こった出来事である。昨年、日本で行われた女子ツアーでの出来事。米ツアーが主戦場の上原彩子プロは、1988年のツアー施行後、また、日本女子史上ワーストを32打更新する「141」{69オーバー}を記録した。

試合初日は大雨。フェアウエイなどでもマークしてボールを拭う事が許された。この場合、元の位置に戻さなければならないが、上原は位置をずらしてプレーできると勘違い。二日目のスタート直前にこれに気付き自己申告。15ホールの計19回、誤所からのプレーとして38罰打が科せられた。これまでは、過少申告で失格だったが、昨年からルールが変更された。そのため、失格は免れたものの、各ホールに付き2罰打が付くケースでさらに30罰打が加えられ計68罰打となった。上原は、「米ツアーでは1クラブの長さ以内なら動かせるので、そう思い込んでしまった」と悔やんだが、後の祭り。
こういったケースは、過去に男子プロツアーでもあった。今田竜二プロが海外ツアーで経験したことだ。「プリファードライ」の大会規定を利用して12番ホールの途中まで「1クラブレングス以内のプレース」を行っていたが、同伴者から「この大会は6インチ以内のプレース」だと指摘され、結果、13箇所でのルール違反となり26罰打が科せられている。両プロとも海外のフィールドで活躍する有能で人気のある選手。したがって、この欄で誹謗・中傷するものではない。
こんな事が、本当に起こりうるのだろうかという驚きと疑問。そして、二度と今後起こらぬようにとの思いから一つのケーススタディーとして書き込んだものである。
ゴルフルールというものは、難しい。その適用の有り方も国や地域によって異なるからだ。人気復活に兆しをみせるプロツアー。オリンピックに花を添え、今後の隆盛を願うなら、うっかりは、もうご勘弁願いたい。プロ選手たちの立ち振る舞いや技術はジュニアもしっかり見ている。彼らの尊敬・憧れを汚さないためにも、自らを律するということも今一度視野に入れたいものだ。

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